【ブログ】身内が介護になった時に備えて ~お金と心の準備~

【ブログ】身内が介護になった時に備えて ~お金と心の準備~

みなさん、こんにちは!
3月中頃になり、すっかり卒業式のシーズンですね。
お金のブログを書くのも、慌ただしい中すっかり止まっておりました。
少しづつですが、アップしていきますので、お付き合いいたいだいている方は気長にお待ちいただければ幸いです^^

今回のテーマは、親の介護についてです。

多くの家庭の家計相談に携わってきた中で「介護」は決して他人事ではないくらい、誰しもが通る可能性があり、いつかは直面する問題であると感じております。

人の終末は、何かしらのサポートを受ける人が多いです。ピンピンコロリ!が理想的と言う方もいらっしゃいますが、現実問題、そうはいかないケースもあります。

「育児は終わりが見えるけど、介護の終わりは見えずらい」と仰ったご相談者もいらっしゃいました。

「もし両親が介護状態になったら、私は仕事を続けていけるだろうか…」「満足いく支援ができるだろうか…」そんな不安を感じることが私自身にもあります。

不安だからこそ備えることが大切なのだと考えて、家計管理をしています。

介護にはどのくらいのお金がかかるのか?

では、介護は実際にどれくらいの費用がかかってくるのでしょうか。
状態によって費用もさまざまですが、例えば、比較的軽度の要支援1・2の状態なら、月々5,000円~1万円ほどの負担で生活支援サービスを受けられます。

しかし、介護状態が重くなるにつれて、費用負担は増えていきます。歩くことや立ち上がりに少し介助が必要になる要介護1では、月に約1~2万円ほど。さらに入浴や排泄などの支援が増える要介護2では月1.5万円~3万円、要介護3では月2万円~4万円が目安です。

介護が重度になり、寝たきりに近い要介護4~5の場合、自宅で介護する場合の費用は月3万円~6万円にもなります。施設を利用する場合、公的な特別養護老人ホームで月6万円~15万円、民間の老人ホームでは月15万円~30万円の自己負担が必要になります。

※これらの金額は、公的介護保障制度内で算出した金額であり、所得や金融資産額によっても、自己負担の割合は変わってきます(この自己負担割合や保有金融資産額で変わる支援制度については、別の機会に書こうと思います)

具体的な金額や、想像をすると驚いたり怖くなってしまうかもしれませんが、現実の数字を知ることは大切で心構えにもつながると思います。

仕事を休んだときに使える制度を知っておこう

介護が始まると、多くの人がまず「仕事を休むこと」を考えると思います。
そのようなときに頼りになるのが『介護休業制度』です。

この制度を利用すると、介護のために最大93日間、仕事を休むことができます。さらに、この期間中には『介護休業給付金』が支給され、給与の約67%を受け取ることができます。例えば月収が30万円の方であれば、約20万円の給付が受けられる計算になります。介護休業中も収入が途絶えないことは、経済的にも精神的にも大きな安心材料になると思われます。

また、短期間の通院や各種手続きなど、短時間だけ仕事を休みたい場合には『介護休暇』の活用をおすすめします。こちらは年間で5日間(介護対象が2人以上の場合は10日間)まで取得可能で、1時間単位でも利用できます。

いずれの制度も、いざという時に慌てないために、職場とよく相談して事前に確認しておくことをおすすめします。

※上記の制度は会社員向けのものです。

個人事業主の方の場合は、制度的な支援が限られるため、『介護サービスを積極的に利用して自分の仕事時間を確保する』『地域のサポートを活用する』『事前に介護費用を含めた資金計画を立てておく』など、働き方や資金面で工夫しておくことが重要です。

親の介護と教育費が重なってしまった家計相談

実は、介護のお金について切実なご相談があるのは少なくありません。

よくあるケースとしては、子どもが大学へ進学する頃など、教育費が特に多くかかる時期と、親の介護が重なる場合があります。

最初は「生活費や教育費、親の介護費用も、預金や奨学金を利用すればなんとかなるだろう」と軽く考えがちです。しかし、いざ介護が始まってみると予想以上の出費が続き、貯蓄がみるみる減っていくことに不安を感じ、ご相談に来られる方がいます。また、子どもの教育費と親の介護費に貯金を使い切ってしまい、「自分たち自身の老後資金が貯められない」という現実に直面し、不安になって相談に訪れる方も少なくありません。

「介護の費用は想像以上。もっと早くから準備しておけばよかった。気がついた時には、もう60歳手前。自身の老後資金を貯めなければならない時期なのに、介護費用の負担が重くのしかかり、焦りが出てしまう…。」

と、将来自分たちが年老いた時、同じように子ども達に迷惑をかけてしまうんじゃないかという不安をお持ちの方もいらっしゃいます。

すぐにまとまった資金を用意することは難しい方は、掛け捨てタイプの民間の介護保険をご案内することもあります。毎月数千円の保険料負担で、将来介護状態になった場合に一時金として数百万円を受け取れるタイプの保険です。(※年齢や性別、保険金額、保障期間などによって保険料は異なります。告知内容によっては加入できないこともございます)

または、まとまった資金がいくらかある場合は、一時払いの終身保険という選択肢もあります。終身保険に介護保障が付加されているものがあり、保険会社によっては要支援1〜2から対象になる保険商品も登場しています。生命保険は、将来の介護に備えられる、安心して準備ができる一つの選択肢と言えます。(※一時払いの終身保険などは、無告知で加入できる商品もあります。年齢・性別・預ける金額(保険料)によって保障金額が異なります。詳細は各保険会社に確認)

今から始められる具体的な「お金の備え方」

最もシンプルで確実なのは、毎月少額ずつでも積み立てることです。月1万円でも、5年で60万円、10年で120万円とまとまった金額になります。専用の口座を作って「万一の不安解消資金」と決めておくだけでも心強いものです。

親の年金や資産状況を親子で話し合い、共有しておくことも重要です。「お金の話をするのは気まずい…」と感じるかもしれませんが、後になって「あの時話しておいてよかった」と思える日が必ず訪れます。

介護と親の終活はセットです!家族で事前の話し合いを

そして、ぜひ心がけていただきたいのが、「介護の話と同時に、親の終活の話も家族でしておく」ということです。

介護が始まった時、多くの場合、親の終活(遺言、財産管理、葬儀やお墓の希望)という問題にも直面します。しかし親が認知症になってしまうと、こうした大切な話はできなくなります。終活が十分にできていないと、財産の管理や相続などでトラブルになり、家族関係がぎくしゃくしてしまうことも珍しくありません。

だからこそ、親が元気なうちに穏やかな雰囲気で話し合うことがとても大切なのです。家族がお互いの気持ちを確認し合うことで、介護も終活も、負担ではなく前向きな未来への準備に変えていきたいですね。

大切な家族がいつまでも笑顔で暮らすために

人生は予測できないことが起きるものです。でも、備えることは誰でも出来ます。介護や終活というテーマは重いと感じるかもしれませんが、家族で協力し、制度を上手に活用することで、前向きに取り組んでいきましょう。

いざという時に家族が笑顔で支え合えるように^^
あなたとあなたの家族が安心して毎日を過ごせるように、このコラムが小さなきっかけになれば嬉しく思います。

ファイナンシャルプランナー 田島めぐみ