【ブログ】サブリース契約について シリーズ第1回「30年一括借り上げのワナ」サブリース契約とは何か?その構造と注意点を知る

【ブログ】サブリース契約について シリーズ第1回「30年一括借り上げのワナ」サブリース契約とは何か?その構造と注意点を知る

みなさん、こんにちは!
新学期がスタートしましたね^^
新一年生たちの小さな背中に大きなランドセル。あちこちでそんな微笑ましい光景が見られる季節になりました。

私事ですが、ふと「この子たちが大人になった時に、どんな環境を残せるだろう」と考えることがありました。教育や社会だけでなく、家族で受け継がれてきた不動産についてです。

最近「サブリース契約」のについて、どのように相続対策をしていくか、連続して数名の方からご相談があり、専門家の方を含め解決にむけて取り組んでおります。

調べていく中で、私自身も頭を整理したいと思い、今回このようなコラムを書いています。

将来のためにと契約したつもりが、思わぬ落とし穴になってしまうこともあると目の当たりにしましたので、サブリース契約についてコラムをシリーズで書いていこうと思います!

しばらく不動産関係のコラムが続きますが、ご興味ある方はお付き合いいただければと思います。

シリーズ第1回として、サブリース契約の基本構造と仕組み、個人大家にとっての重要な注意点を、お伝えしていきます。

サブリース契約の構造と「借地借家法」の適用

サブリースとは、不動産会社(サブリース業者)がオーナー(大家)から一括で物件を借り受け、その物件を入居者に転貸する仕組みです。オーナーは業者に貸し、業者は入居者に再度貸している形になります。

「安定収入」「管理の手間いらず」というメリットがある一方で、この契約には重要な法的特徴があります。それは、サブリース業者が法律上は“借主”であり、「借地借家法」によって強く保護されていることなんです。※1:借地借家法第28条「賃貸人は正当な事由がなければ契約の更新拒絶または解約の申し入れができない」

つまり、30年契約であっても、オーナー側から「やっぱり解約したい」と思っても、契約期間中に一方的に解約することは原則としてできません。※2:国土交通省「サブリース業者との契約に係るトラブルの未然防止について」(平成30年10月)

そして、賃料改定条項によって途中で家賃が減額される可能性があるんです。

長期契約と賃料改定条項 “保証された家賃”はずっと続かない?

サブリース契約では、契約期間は30年と説明がなされることが多く見られます。これによりオーナーは「30年間、ずっとこの家賃が続く」と誤解してしまうケースがあるようです。

実際には、10年後、15年後に「近隣相場が下がったので賃料を減額したい」と業者側から申し入れがあるのが一般的とのこと。※3:大手不動産管理会社「サブリース契約の概要と家賃改定に関する説明資料(2020年版)」

この“賃料改定条項”は、「2年ごとに協議のうえ見直し」といった表現で契約書に盛り込まれている場合は、改定に合意しない場合、業者が「では契約を終了させます」と通告してくるケースもあるため、実質的にオーナーにとっては“断れない”状況に陥りがちです。
※4:国民生活センター「サブリース契約トラブルの実態」報告書(2019年度)

修繕費・手数料・・・ 手取りは思ったより少ない!!

サブリース契約では、毎月受け取る家賃から「建物管理費」「修繕積立金」「家具家電メンテナンス費」などが差し引かれます。これは業者が物件管理を代行している対価として設定されており、手取り額は契約家賃よりも実際はかなり少なくなります。
※5:大手不動産管理会社21公式資料「建物メンテナンス契約(BM契約)概要資料」、消費者庁「サブリース契約時の費用構成について」

また、自然災害による建物損壊(例:台風・地震など)については、サブリース業者のメンテナンス対象外となっており、オーナー負担になるケースが多いため注意が必要です

解除できない“非対称な契約”の実態

オーナー側が自由に契約解除できない一方で、業者側には「入居率が悪化した場合」「採算が合わなくなった場合」などの理由で中途解約ができる条項が付いていることがあります。
※6:国土交通省「賃貸住宅管理業法」ガイドライン、及び2020年の関連改正法施行後の事例集

つまり、サブリース契約は一見安定して見えるものの、「ずっと保証されるわけではない」「実際にはオーナーが不利な立場になりやすい」という構造的な特徴があるのです。

【まとめ】サブリース契約の基本的な注意点

●法律上、サブリース業者は「借主」として強く保護されている(借地借家法適用)
●長期契約でも、賃料は定期的に見直され減額される可能性がある
●手取り収入は契約賃料より少なくなる(各種費用天引き)
●契約解除の自由度はオーナー側よりも業者側が高い

このように、サブリース契約はオーナーにとって“お任せできる仕組み”であると同時に、“途中解約もできない縛りのある契約”でもあるんですね。これから契約を検討している方は、こういったデメリットもしっかりと把握しておく必要があります。特に不動産投資初心者の方は、こうしたお任せできる面が安心と感じる方も多いようですが、セカンドオピニオンとして、不動産関係の専門家や司法書士・弁護士の方へ契約内容の確認をあらかじめすることをお勧めします。

次回は、実際にこうした契約を結んだ個人大家にとって、どのようなメリットとリスクがあるのかを、より具体的に掘り下げて書いていこうと思います。

ご興味のある方は、次回も読みにきていただければ幸いです^^

家計相談、保険の見直し、住宅ローンの返済計画、長期資産形成など、家計のお困りごと、お気軽にご相談ください^^

ファイナンシャルプランナー
田島めぐみ